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SilentLinkとWiFiとBlueToothとはどう違うの?共存可能ですか?

SilentLink(IEEE802.15.4)は2.4GHz帯の電波を利用して近距離の通信をするための世界標準規格です。それではWiFiやBlueToothとはなにが違うのでしょうか? 同じ2.4GHz帯の電波を利用するWFiとBluetoothとSilentLinkの違いは簡単に言うと通信する際の電波の「使い方」です。ISMバンドは2400MHzから2480MHzまでの80MHz程度の幅しかありません。その割には色々な電波がひしめきあってる満員電車のような状態になっています。

SilentLinkはすでにある2.4GHz帯の他の通信方式とうまく共存できるように考案されました。その特徴は「幅が狭い」という事です。それぞれの通信方式の違いを絵で説明します。例えば満員電車の中の横長の椅子を想像してみて下さい。WiFiは二人分の幅を占有してどっしり座っています。Bluetoothは子供のように小さいな体でチョロチョロと動き回って席を移動し続けています。後から来たSilentLinkはやせているのでWiFiの間の隙間に静かに落ち着いて座ります。こうして三つの通信方式が共存できるしくみになっています。



WiFiの特徴は22Mhzという広い場所を占有するのですが通信速度が11Mbps程度と高速です。また少し距離が離れていれば同じ周波数でも問題なく動作するように考慮されている規格です。まさにパソコンのワイヤレスネットワークとして利用して画像などの大量のデータをやりとりするのにうってつけです。しかしその高速な通信速度の代償として大量の電力を消費します。ノートパソコンなどではWiFiの電源をワンタッチでON/OFFできるスイッチを備えたものがありますがWiFiの消費電力が大きいためバッテリーの使用時間に大きく影響するための配慮です。

Bluetoothは1Mbps程度のスピードで音声などをやりとりする際に便利な規格です。消費電力もWiFiほど大きくありませんの電池で動作させる事ができます。また周波数ホッピングという通信方式を採用しているのでチャンネルという概念はありません。つまりBluetooth規格の機器が近くにあれば無条件で接続されてしまいます。この機能はPCに周辺機器を接続するには大変便利なのですが数多くのユニットを組み合わせてセンサーネットワークを構築する事ができない通信方式です。

そしてサイレントが力を入れているSilentLinkですが250kbps程度の転送速度で画像を取り扱うには苦しいスピードです。しかしその代わり送受信する際の消費電力は最小になります。また周波数ホッピングではなくあらかじめ設定された固定の周波数を利用しますので周波数を変えればネットワーク同士を完全に分離できます。例えば建物の1Fと2Fの周波数を別にすればお互いに干渉しない完全に独立したネットワークを構成できるわけです。またコーディネーターと呼ばれるユニットが他のユニットに送信を許可するしくみ(プロトコル)によって一つの周波数の中に複数のユニットが共存することもできます。

SilentLinkは周波数を固定することで低消費電力化を実現しています。つまりいつも決まった周波数で通信するので周波数を切り替えて信号を探しに行く手間がかかりません。つまりそれだけ受信する時間を短く出来ます。またコーディネータからの指示(ビーコンと呼びます)のタイミング以外は受信する必要はありませんので、その間は無線部分の電源を切って消費電力を低減させます。またデータ量を極力少なくする事で通信時間を短くするという工夫をしています。こうした特徴をうまく活用して乾電池で1年以上動作させることが可能になりました。

2.4GHzを利用した通信は色々な方式があります。サイレントはそれぞれの通信方式の長所を巧みに組み合わせてトータルなワイヤレスネットワークを構成するお手伝いしたいと考えています。